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今そこにある危機(21) [国際・政治情勢]

「【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 東アジアは人民元の海に

2009.9.27 08:41 産経新聞


「リーマン・ショック」以降、ドルに釘付けした人民元と激しく変動する円

 ■周回遅れの共同体構想

 鳩山由紀夫首相はニューヨークでの胡錦濤中国共産党総書記・国家主席との会談で、「東アジア共同体」を提唱したが、共同体構想は「友愛」劇の学芸会ではありえない。東アジアは事実上、「中華の海」になりつつある。周回遅れの日本が巻き返すつもりなら、中国に比べて優位に立つ経済分野、特に通貨で主導権をとるしかない。

 ≪着実に布石打つ中国≫

 「東アジア共同体」構想自体は関係国首脳会議などの場で数年前から議論され、日中は「共同体」の主導権確保に向け水面下で争ってきた。最大の焦点になってきたのは、「東アジア」の範囲である。中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓3カ国を指すのに対し、日本側は小泉純一郎首相時代からこれらにオーストラリアやインドなど民主主義国に参加を働き掛け、「中国主導」色を消そうとした。が、中国は着実に布石を打ってきた。ASEANとの自由貿易協定(FTA)締結などで日本に先駆け、経済共同体形成に向けて既成事実を積み上げてきた。

 中国は、昨年9月の「リーマン・ショック」に端を発した世界金融危機を「人民元国際化」のチャンスととらえた。中国通貨当局は人民元を切り上げた2005年7月以来の「柔軟な為替制度」という対外約束を棚上げし、人民元の対ドル相場を事実上、固定した。

 人民元の安定を梃子(てこ)に輸出産業を有利にする一方で、外資による対中投資をつなぎとめる。流入する外貨を吸い上げて米国債を購入することで、米金融市場安定にもつなげられるので、ワシントンも黙認せざるをえない。

 中国は金融危機で周辺アジアとの人民元建て貿易を推進し、上海などで人民元建て決済を開始した。ことし9月に入って人民元建ての中国国債を香港で発行するなど、外国の金融機関、企業、投資家が人民元の金融資産を保有できる基盤を整えようと試みている。

 ≪台湾も経済統合に傾く≫

 もともと、東南アジア主要国の経済は華僑・華人系資本が支配しており、香港経由で対中投資するなど緊密なネットワークを組んできた。人民元の使い勝手をよくすれば、人民元がただちに普及する素地がある。台湾の馬英九政権も大陸との経済統合に傾いており、人民元による対台湾投資、資金決済を受け入れようとしている。

 中国による人民元包囲網が広がると、中国や東南アジア市場に分厚い拠点を持つ日本企業や金融機関も、人民元建てで決済するしかなくなる。日本企業はいわば、人民元の海の中で生きるしかなくなる情勢だ。

 海外で自前の札びらを切れるのと、そうでないのでは天国と地獄のような差が生じる。おカネがペーパー(紙切れ)マネーである現在、決済通貨国はいくらでもお札を発行して他国に投資したり、海外での買い物も、軍の進駐も思いのままだ。為替差損の心配がない。他国の富を吸い上げて、自国は富む。逆に、持たざる国の市民や企業は他国の通貨を手に入れるために、よけいに働かざるをえない。ドイツとフランスは、基軸通貨ドルの米国の有利さに比べたハンディをしっかりと認識して、2度の大戦による憎しみを超えて統一通貨ユーロを導入した。対話を積み重ね、段階を踏んで市場統合を深化させ、通貨統合に到達した。

≪日本は真っ向挑戦が必要≫

 鳩山首相には秘策があるかもしれない。首相はニューヨーク・タイムズ(電子版)に転載された月刊誌論文で、「アジア共通通貨」を東アジア共同体の柱として提唱した。この共通通貨とは、円、人民元などアジア主要通貨にドルやユーロを混ぜ合わせた計算上の合成通貨とする考えなのだろう。「友愛」精神にはいかにもなじむ。きまじめな日本人はともかく、見かけよりも中身、形式よりも実質を重んじる実利主義の中国人はそんな仮想通貨を信じないだろう。

 鳩山構想に意味があるとすれば、アカデミズムの世界では評価される「合成通貨」を盾に、人民元に対抗する政治意図表明だ。中国側は、鳩山首相がどこまで具体策を出すのか惑っているようだ。「画餅(がべい)」に過ぎないなら時間稼ぎのゲームと見透かされよう。

 本筋は、真っ向から挑戦することだ。ドル、ユーロ、ポンドに次ぐ国際通貨としての座を確保している円を、アジアでの共通通貨とする目標を立て、達成のための戦略を確立する。それこそ政治家の仕事だ。」


鳩山首相の推進する『東アジア共同体』には私は賛同できかねる。上記の記事の如く、『日本主導』よりも『中共支那主導』の『大中華圏』になるのは火を見るより明らかだからだ。それよりも日本は自国の通貨『円』をドル・ユーロに続いて、『国際基軸通貨』に格上げすることに専念すべきだ。日本の『円』にはその可能性が大きくある。鳩山首相の言うような『合成通貨』は、『仮想通貨』に過ぎない。日本の国益の為には、日本の強い『円』を前面に押し出して『アジアでの共通通貨』とするべきである。

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