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今そこにある危機(275) [国際・政治情勢]

「公海上の恒例の訓練」中国外務省 中国紙は「日本は神経質」

2010.4.22 18:56 産経新聞

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中国艦艇から発艦訓練を行う中国海軍のヘリコプター=15日(防衛省提供)

 【北京=川越一】中国海軍のヘリコプターが沖縄本島南方海域で海上自衛隊の護衛艦に接近したことに関し、中国外務省の姜瑜報道官は22日の定例記者会見で、「中国海軍は最近、公海海域で恒例の訓練を行った」などと説明し、日本政府の抗議を一(いつ)蹴(しゆう)した。

 国防省報道官も15日、中国海軍艦艇が沖縄近海などを通過したことについて、「公海上における正常な訓練で国際法にも符号する。世界各国で通用するやり方だ。むやみに勘ぐるべきではない」と反論している。

 また、22日付の国際情報紙、国際先駆導報は、中国の艦艇が太平洋に抜ける公海ルートとして宮古海峡などを通る4本を挙げ、通過の通告義務はないと強調。「日本は中国艦艇が頻繁に外洋に出ることに慣れるべきだ」との中国海軍関係者の言葉を引用し、中国海軍の動向に対する日本側反応を「神経質」と指摘した。

「甘い鳩山政権 狙い撃つ中国艦隊

2010年4月28日(水)8時0分配信 産経新聞

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中国艦隊の動き

 【湯浅博の世界読解】

 中国海軍が海洋に進出する際には一定のパターンがある。海洋は各国の膨大な排他的経済水域がからむから、相手国の反応を見ながら突き進む。微妙な水域で断固たる反発を受ければ「ほどほど」に、さほどでなければ「遠慮なく」既成事実を積み重ねていく。

 これまでも、1978年に100隻の漁船を尖閣諸島に送り込み、2004年に漢級潜水艦を領海侵犯させたほか、05年には東シナ海の天然ガス田付近に海軍艦艇を派遣した。

 そして今月初めから、ミサイル駆逐艦や潜水艦など計10隻に上る艦隊を、東シナ海から南西諸島を越えて沖ノ鳥島近海にまで進出させてきた。

 あきれたことに、中国海軍の艦載ヘリが、監視中の海上自衛隊の護衛艦に2度も異常接近した。ところが、外務省が中国に「事実確認」をしたのは最初の接近から4日も遅れた。鳩山由紀夫首相に至っては、日中首脳会談で、抗議を回避してしまった。

 2度も接近を許したのは、中国に「遠慮なく」既成事実の積み増しを許したことになる。鳩山政権には日本の主権と権益を守る断固たる意志なし、と判断されてしまった。中国海軍は遠からず、また踏み込んでくるだろう。意志薄弱な鳩山政権のうちに既成事実をさらに積み上げられるからだ。

 中国は「海軍を増強し、海洋権益を確保する」を目標とする。この海域でいえば、2004年には国家海洋局が「沖ノ鳥島は島ではなく岩である」と豪語した。同海洋局は海洋資源のぶんどりが使命である。

 独自に武装艦船も持つが、強力な海軍が後押しする。しかも、その中国海軍には独自の覇権主義的な海洋戦略がある。

 中国首脳部は二言目には、「中国は調和的な世界を目指している」との表現を繰り返す。しかし、防衛大学校の太田文雄教授によれば、実態はトウ小平の戦略の「韜光養晦(とうこうようかい)」にあるようだ。

 韜とは刀や槍(やり)の鞘であり、光は輝く能力、晦は暗闇だそうで、輝くような能力を隠し、人の分からないところで戦力を蓄えていくたとえである。

 さすがに、国防費が20年以上にわたって2ケタで伸びている異常さでは隠しようもない。近年は「平和的台頭」の衣を脱いで、「軍事的台頭」のヨロイをちらちらさせてきた。

 海洋では、最高実力者だったトウ小平の懐刀といわれた劉華清の戦略に沿い、中国大陸の沿岸防備から堂々の近海防御戦略に打って出てきた。2020年までに、日本列島から台湾、フィリピン、南沙諸島に至る「第1列島線」へ出て、50年までには、小笠原列島からグアム島に至る「第2列島線」へと突き進む。

 しかし、中国海軍の最近の動きは、この目標年次を前倒ししているのかもしれない。ターゲットは台湾海峡有事に出てくる米国の空母戦闘群である。

 空母が台湾に近づけないよう「接近阻止」し、さらに、列島線内に入れないよう「領域阻止」するという考え方だ。当面は潜水艦などによる接近の阻止でも、やがては独自の空母を繰り出して制空権もねらうことになる。

 中国のいう「領域」内には日本の尖閣諸島も入るから、日米関係が怪しくなれば尖閣奪取の誘惑に駆られよう。日本の安全を守るために、日米同盟は決してゆるがせにできない道理である。(東京特派員)」



東シナ海と西太平洋のわが国周辺海域で、軍事訓練・演習を実施した中国海軍の艦載ヘリコプターが海上自衛隊の艦艇に異常接近したり、東シナ海で測量中の海上保安庁の測量船を中国海洋調査船が追跡するなどの出来事が相次ぎました。
これらの背景には、日本が実効支配する尖閣諸島を含む東シナ海の排他的経済水域(EEZ)を勢力範囲に取り込もうとするばかりでなく、さらに沖縄南方、わが国最南端の領土である沖ノ鳥島周辺海域に至る西太平洋に中国の勢力圏を確立して、この海域で支配的であった米国の海軍力を排斥する中国軍の意図があります。
日本政府の抗議に中国側は「この海域は中国の排他的経済水域であるから、正常な訓練であり、国際法に基づいた合法的な行動である」と説明しました。また中国海軍元幹部は『これまで自国の海を守らなかったことが異常だった』と述べて、中国の海洋調査船が海上保安庁の測量船を追跡して排除したことの合法性を強調しました。
中国の海洋調査船が追跡した海域は、東シナ海の排他的経済水域の日本側海域です。中国は日中中間線を認めていませんが、日本の船を追い出す行為はこれが初めてです。これまで、特に1990年代後半に、東シナ海の日本側海域で中国海洋調査船が頻繁に侵入して調査活動を実施してきましたが、わが国政府は抗議するだけで、中国の活動を停止させるための何ら有効な措置をとりませんでした。そのこともあって主客が転倒、日中の立場は逆転しつつあります。
中国は今世紀に入り、沖ノ鳥島周辺のわが国の排他的経済水域に侵入して違法な調査活動を続けてきました。2004年には沖ノ鳥島が日本の領土であることは認めるが、排他的経済水域を設定できない『岩』であるとの認識を示し、堂々と調査活動を続けけました。
そして昨年6月に、5隻の艦隊が沖ノ鳥島の北東海域に出現して訓練を実施しました。今年3月には6隻の艦隊、4月には前述の10隻の艦隊が同西方海域で軍事訓練、対艦演習を実施しました。同様の訓練・演習が続けられそうです。
では、中国はなぜ沖ノ鳥島周辺海域に進出するのでしょうか。目的は2つ考えられます。1つは悲願の『台湾統一』に際して、軍事力を行使する場合に、米国海軍の空母機動部隊と原子力潜水艦をこの海域で阻止することにあります。もう1つは、米国の覇権に挑戦し、将来の太平洋への全面的な進出に備えて、西太平洋を影響の下に置くことにあります。そのために、中国はいわゆる第1列島線から第2列島線の間の広範な海域に進出し、軍事行動を前提とした海洋調査活動、あるいは軍事訓練・演習を行って存在感を高めているのです。
中国の西太平洋進出を突き詰めて考えれば、ガス田開発や潜水艦増強の背景もすべて見えてきます。中国海軍には、青島、寧波、湛江にそれぞれ司令部を置く北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3つの艦隊があります。
東アジア・西太平洋では、北海艦隊と東海艦隊が太平洋に出るには、東シナ海から沖縄本島と宮古島との間の水域を通ることになりますが、そのまま南進すると沖ノ鳥島の西方海域に出ます。
その途中の東シナ海のど真ん中には、中国がこの30年来開発してきた平湖と春暁の石油ガス田群があります。この海域は、単に資源開発だけでなく、中国の2つの艦隊が西太平洋に出て行く重要な通り道に位置しています。というより、その通り道に中国は石油ガス田を設置して、艦隊の通航を守っているのです。
一方、南海艦隊の本来の任務は南シナ海の防衛にありますが、海南島から真東に進んで、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を抜けると、沖ノ鳥島の西方海域に出ます。この海域で、中国海軍の3つの艦隊は合流することになります。
中国にとって、日本の周辺海域がいかに重要な海域であるかということが分かります。だが、わが国にはそうした認識が欠落しています。中国の艦船が公海を通ることは国際法理上やむを得ないと事実上中国の行動を容認し、中国から日本を守るための措置を講じようとしません。
このまま放置して、中国海軍が東シナ海から西太平洋に展開する既成事実が積み重なれば、米軍の行動は著しく制約され、日米安保体制は無力化します。そうなれば日本のシーレーンの要にある台湾が中国に統一されるばかりか、日本は中国の属国と化すでしょう。
冷戦時代に、米国海軍は日本周辺海域で情報収集するソ連漁船の活動を妨害し、ソ連潜水艦を執拗(しつよう)に追跡して東アジア・西太平洋の安全を確保しました。海上自衛隊も米海軍に協力して懸命に活動しました。今、わが国がなすべきは、その先例を臆(おく)することなく実行することです。

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