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今そこにある危機(103) [国際・政治情勢]

「【正論】拓殖大学大学院教授・遠藤浩一 民主党は自由な議論を封じるな

2009.10.19 02:14 産経新聞



 ≪4年前よりも不穏な動き≫

 4年前、小泉純一郎氏率いる自民党が総選挙で大勝すると、一部から「オールイエスマン政党」だの「ヒトラー待望論のような空気」だのといった非難が噴き出した。郵政民営化に反対して自民党離党を余儀なくされた某代議士は古巣の大勝を見て「民主主義の危機」と叫んだものである。その後の自民党が全体主義に向かって突き進んだわけではなく、むしろ求心力を失い、自壊していったのはご覧の通りである。4年経って、今度は民主党が308議席を獲得したが、あのとき眉間(みけん)に皺(しわ)寄せた人々は黙り込んでいる。「民主主義の危機」は去ったのだろうか?

 もとより、選挙で一方の政党が大勝したことをもって民主主義の危機や全体主義の到来を騒ぎ立てるのは筋違いである。問題は、こうして形成された圧倒的多数派が如何(いか)なる手続きを踏んで、如何なる政策を遂行するかにある。この1カ月あまりの推移を見ると、私には、4年前より、はるかに不穏なものが感じられる。

 9月18日、民主党は小沢一郎幹事長名で党・会派に所属する全国会議員に対して「政府・与党一元化における政策の決定について」と題する一片の通達を発した。党の政策調査会の機能を内閣に一元化して一般行政に関する議論と決定は専ら政府で行うこととし、選挙や国会など「優れて政治的な問題」については党で議論し、役員会で決定することになるという。

 ≪小沢氏の悲願が実現した≫

 ならば、民主党の所属議員はいったいどこで政策について議論するのか、政策方針はどこで決定されるのかというと、副大臣が主宰する各省政策会議なる場に委員会所属議員その他の与党議員が出席して、「政策案を政府側から説明し、与党議員と意見交換」したり、「与党議員からの政策提案を受け」たりするらしい。

 だが、政策決定の権限を有するのは、あくまでも大臣、副大臣、政務官によって構成される「大臣チーム」(政務三役)で、彼らが決めた政策だけが閣議にかけられ、政府提案として国会に提出され、民主党の圧倒的多数のもとで成立することになる。その政務三役も人手不足で、業務遂行に支障が出始めているという。

 おそらく、自民党政権の政調部会が各省庁と癒着していたこと、細川連立政権において与党・政府の二元制が混乱をきたしたことなどを踏まえての措置だろう。小沢氏主導による決定と伝えられるが、「政・党分離」とはいっても、小沢幹事長の意向を抜きに政策が決められるとは考えにくい。

 政府を支えるのは、あくまでも国会において多数を制する民主党であり、その党は小沢氏によって差配されていて、このほどようやく決まった党人事も「オールイエスマン体制」である。権力を一点に集中し、運用する「有司専制(ゆうしせんせい)」は、同氏にとって積年の悲願だったが、ようやく実現することができたわけである。

 一方、人事から外れた議員は何をしているのか。今回の選挙で大量に当選してきた新人議員は、小沢幹事長による「1年生の仕事は次の選挙に勝つことだ」との号令の下、ひたすら地元活動に精を出しているという。頭は使うな、身体を動かせ、永田町にいる必要なし、といわんばかりである。

 わが国が議院内閣制を選択している以上、それに相応(ふさわ)しい政治主導システムを確立するのは当然である。しかし、民主党版「有司専制」体制には疑問を禁じえない。

 ≪選挙区で孤立する議員たち≫

 第1に、なぜ政党内での政策論議が否定されなければならないのかさっぱり分からない。自民党の政調部会には批判も多かったが、ここでの討論によって、例えば法務官僚が起案した人権擁護法案は廃案に追い込まれた。言ってみればこれは、政治主導だった。

 第2に、量も質も覚束(おぼつか)ない「大臣チーム」で、どのようにして官僚の影響力を排除していくつもりなのか。むしろ政治家の能力不足に付け込み、より隠微な形で官僚の影響力が強くなりはしないか。

 第3に、民主党の一般議員諸侯は決定権なき“ガス抜き会議”で満足できるのか。彼らは党内での自由な論議を事実上封じられ、横の連絡もとれず、各々(おのおの)の選挙区で孤立している。民主党が多数を制する国会において野党は無力である。権力の暴走のチェックをするのは与党内での自由な議論しかないのに、この党は、それを廃止してしまった。

 H・アーレントの「全体主義運動はアトム化され孤立させられた個人の大衆組織であり、その成員からは他の政党や運動と比べると前代未聞の『忠誠』を要求し、しかもそれを手に入れることができる」(全体主義の起源)との指摘が改めて重く響く。いま全体主義について云々(うんぬん)しても、国民も、当の民主党の諸氏も、ピンとこないかもしれない。それが杞憂(きゆう)であることを私も祈っている。

 しかし、民主主義と全体主義とは対立するものではなく、前者を最も醜悪に発展させたものが後者であることを忘れてはならない。(えんどう こういち)」


上記の記事の如く、私も小沢氏の『民主党版「有司専制」体制』には、きな臭いものを感じる。全体主義の臭いがプンプンするのだ。『民主主義と全体主義とは対立するものではなく、前者を最も醜悪に発展させたものが後者である』というのは事実である。現に、歴史上、ナチスドイツやスターリンのソ連や毛沢東の中共支那やカンボジアのポルポト政権なども民主主義を標榜しながら、独裁体制の全体主義へと移行した。日本の民主党も理想主義的な綺麗事を並べて、甘い言葉で国民を世論操作しながら、高い支持率と国会での圧倒的多数の議席を背景に好き勝手をし始めている。先の衆院選でも、勝つ為には、手段を選ばず、財源の根拠もなしに甘言を弄し、国民を騙し、大勝した。民主党の『衆愚政治』は、やがて国民を統制する『全体主義』へと変貌していくのではないかと危惧される。

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やまがたん

民主党・・・最近マスコミに叩かれてますねえ・・・
私は負けずに頑張っていただきたいと思います!
訪問ありがとうございました^^
( ゚∀゚)o彡°広告もランキンクも゙☆ポチッとオウエン☆
by やまがたん (2009-10-20 07:16) 

gaiagear

やまがたんさん、nice!&コメント&ご訪問&応援ありがとうございます。
まあ、もう野党ではなく、政権与党という体制側になった訳ですし、政策の方も二転三転しているので、叩かれるのは当然でしょう。自民党も政権与党の時は相当叩かれましたからね。
by gaiagear (2009-10-20 10:40) 

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