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今そこにある危機(101) [国際・政治情勢]

「補給艦 海賊対策に転用 政府検討 給油打ち切りで代替策

2009年10月19日(月)8時0分配信 産経新聞

 インド洋からの海上自衛隊補給艦の撤収に伴い、同艦をソマリア沖で海賊対処にあたる外国艦艇の補給に活用する案が政府内で検討されていることが18日、分かった。インド洋でテロ対策にあたってきた米欧艦艇の多くが現在は海賊対策でソマリア沖に展開しており、補給支援打ち切りの穴を埋める国際貢献策になりうるとの見方が出ているためだ。自衛隊の海外派遣に慎重な社民党や、米欧などの理解が得られれば有力な給油代替策の一つとして浮上してくる可能性もある。

 政府はインド洋補給活動について「単純延長はしない」(鳩山由紀夫首相)と強調してきた。代替案として民生分野でのアフガニスタン支援を検討中だが、同案だけで人的貢献を期待する米政府の理解を得られるかは不透明だ。


 自衛隊は海賊対処に護衛艦2隻、インド洋の補給活動に補給艦と護衛艦各1隻を派遣している。インド洋からの撤収で浮く補給、護衛各艦をソマリア沖に振り向ければ海賊対策でより実効的な活動が可能となる。ソマリア沖には現補給活動の給油ポイントの一つがあり、テロ対策と海賊対処など複数任務を兼ねた艦艇も少なくない。


 民主党は海上保安庁主体の対応を掲げ、海賊対処法に反対した。だが、衆院選マニフェスト(政権公約)では「適正な手続きで海賊対処のための活動を実施する」としており、自衛隊の活用は否定していない。


 海保は補給艦を保有しておらず、補給活動のための自衛隊派遣なら党内や社民党の理解を得やすいとの判断もある。


 政府内には補給支援のほか、海自の任務をソマリア領海内を往来する国連世界食糧計画(WFP)船舶の護衛に拡大する案も浮上している。ただ、いずれも法改正が必要となる。このため自衛隊員を海保の要請に基づき首相を長とする「海賊対処本部」に身分を移して派遣するなどとした同党の従来の主張とあわせ、海賊対処法を一括改正する方策などが検討されている。


 一方、自民党の川崎二郎国対委員長は18日、NHKの討論番組で、来年1月で切れる補給活動を継続させる新テロ対策特措法改正案と、衆院解散で廃案となった北朝鮮船舶の貨物検査特別措置法案を、26日召集の臨時国会に議員立法で提出する考えを示した。公明党の漆原良夫国対委員長も「自民党が提出した場合は賛成すべきだ」と述べた。」

「【社説検証】インド洋補給支援 継続努力を求める産経 民生支援強調する朝日

2009.10.19 07:42 産経新聞


インド洋北部のアラビア海で、パキスタン海軍艦艇に給油する海上自衛隊の補給艦「おうみ」(手前)=平成20年2月21日(鈴木健児撮影) 

 アフガニスタンと隣国パキスタンを岡田克也外相が訪れた。その直後、政府は来年1月で期限切れとなる海上自衛隊のインド洋における補給支援活動の撤収方針を打ち出した。

 両国でテロが活発化し、治安が悪化している最中だ。産経、読売、日経の3紙は補給支援の継続を明確に主張した。

 平成20年2月から続けてきた海自の活動打ち切りがもたらす影響を、産経はきわめて端的に指摘する。

 「これにより日本はテロとの戦いから脱落する。アフガンでの対テロ戦争に苦悩する米国の足を引っ張り、日米同盟を損なうことになる。国益は維持できない。鳩山由紀夫首相には再考を求めたい」

 アフガンを再びテロの巣窟(そうくつ)としないためには、本土での国際治安支援部隊(ISAF)とともに、米英仏独、パキスタンなど各国艦船のインド洋上の活動が不可欠だ。テロリストの移動や武器および麻薬の海上輸送を阻止するためである。

 こう指摘する読売は「日本だけが(艦船への)給油活動を中止し、戦線離脱すれば、国際社会の目にどう映るだろう」と問いかける。日経も補給支援の撤収は「『カネは出すが、汗はかかない』と国際的に批判された小切手外交につながる」と辛辣(しんらつ)に批判し、「日米関係が負う傷は、外相の想像より深い」と論じた。

 産経など3紙とは対照的に、朝日は「民生支援なしに軍事だけで現状を打開できないことは明白だ」との分析を示し、民生支援の拡大に賛同する立場で論じている。

 アフガンに対し、日本はこれまで学校や診療所の建設や警察官の給料肩代わりなど18億ドルにのぼる支援を行ってきた。

 政府が今回検討を始めたのは、アフガンの旧支配勢力タリバンの元兵士らへの職業訓練や農業支援の拡大などだが、朝日は「元兵士への支援はタリバーンの戦力拡大を防ぐためにも必要」と評価した。そしてオバマ米政権には、パキスタン支援とも合わせ「効果的にテロを抑止できるよう、抜本的な戦略の見直しに努めてほしい」と注文をつけている。

 毎日は、補給支援については「アフガン支援の選択肢の一つであると主張してきた」と強調している。だが、「やめる場合は、過去の給油活動を検証し、関係国のニーズ、有効性の低下など中止の積極的な理由を示すと同時に、給油活動に代わる、より効果のある支援策を打ち出さなければならない」と論じ、政府に「総合的なアフガン支援策」を早期にまとめるよう要望した。

 アフガン支援に関する各紙の論調は以上のように分かれる。「効果的な支援」に向け、さらに知恵を絞る必要があろう。

 しかし、はっきりしていることがある。文民の活動に常に軍隊の護衛が必要とされるアフガンの治安の現状では、民生支援の成果もなかなか上がらないことだ。政府がISAFへ自衛隊を派遣できないというなら、日本が今とるべき道ははっきりしている。

 「給油活動を続けることが、最も理にかなった人的貢献ではないのか」(読売)

 「国会の事前承認など、現行の新テロ対策特措法に新たな条件を付けて(補給支援を)継続する道をなお探るべきだ」(産経)

(鳥海美朗)

                  ◇

 ■インド洋補給支援とアフ・パク戦略に関する各社の社説   

 産経

 ・国益損なう撤収の回避を

 朝日

 ・抜本的な見直しの時だ

 毎日

 ・アフガン総合策を示せ

 読売

 ・給油活動継続の道を探れ

 日経

 ・やはり「小切手外交」を繰り返すのか

 〈注〉いずれも10月14日付」


民主党も国際社会の現実を見て、民生支援だけでは無理と考え出したようです。でも、結果的に海自が海賊対策と補給活動を同時にやるなら、現行のままでいいと思うんですけどね。
新聞各社の論調もアサヒを除いて、アフガン支援策に海自の補給活動を容認する方向のようです。アサヒは相変わらずですけど。

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