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今そこにある危機(59) [国際・政治情勢]

「【正論】平和・安全保障研究所理事長 西原正 新政権の国防軽視を憂慮する

2009.10.5 02:22 産経新聞


 ≪落とし穴ある共同体構想≫

 鳩山首相、岡田外相の日本外交がスタートした。ニューヨークでの日中、日米首脳会談などを通して、首相、外相が積極的な姿勢で自らの立場を述べたのは大いに評価したい。インド洋での給油活動や米軍再編問題などを先送りしたのも賢明であった。しかし、この対米、対中外交からは、新政権の国防軽視の姿勢が垣間見え、国の安全を憂えざるを得ない。

 鳩山首相らは米側とは日米同盟強化の原則で一致した。一方、中国側には、「東アジア地域をわが国の基本的生活空間ととらえ、経済協力と安全保障の枠組みを作り」「相違を乗り越えて協力し合う東アジア共同体を創(つく)る」ことを提唱した。これは一見、対米・対中関係のバランスをとり、自主性を示す外交に見える。だが、東アジア共同体構想には日本の安全保障にとって隠れた落とし穴があることに留意すべきである。

 例えば、中国側も(そして韓国も)東アジア地域を自国の基本的生活空間ととらえているのであるから、「安全保障の枠組み」を巡(めぐ)って日本と中国とは対立しそうである。中国は東シナ海や南シナ海を自国の勢力範囲内に収めようとしている。この動きをどのようにして食い止めるのか。中国は国防費を過去20年間、前年比二ケタ増とする軍備増強を続けている。鳩山政権が日本の防衛費を増額するのならばいざ知らず、前年比同額か削減するであろう状態では、この動きを抑えることはできない。

 ≪欧州連合と比較する危険≫

 そこで日本に可能な唯一の道は日米同盟の強化だが、一方で「対等な日米同盟」を説きながら、実際には米国依存を深める矛盾を生む。そこに「東アジア共同体」が実現すれば、日米同盟の希薄化が進むと中国は考え、共同体の進展は自国にとって戦略的に有利と捉(とら)えているであろう。東アジア共同体構想の落とし穴である。

 鳩山首相は、ヨーロッパで第二次大戦後、ドイツとフランスが共同で石炭鉄鋼共同体を作ったことが欧州の共同体構築の基礎となったと説く。しかし東アジアの状況は異なる。独仏は同じ民主主義国として協力できた。なによりも戦後の両国は勢力圏拡大を極力自制した。しかし現在の中国は権威主義体制であり、「富国強兵」を唱える国である。中国の海洋進出は勢力拡大を意図したものだ。

 独仏は北大西洋条約機構(NATO)メンバーであり、米国が西ヨーロッパ加盟国全体に防衛の傘をさしていた。東アジアでは、米国は日本(および韓国)には防衛の傘をさしているが、中国にはそうしていない。将来、米国が東アジア共同体の加盟国全体に防衛の傘をさすことにでもなれば、共同体は前進するかもしれない。その意味でも、共同体に米国が入っていることが、日本にとって成功の不可欠の条件になる。しかし米国が中国を加盟国とした同盟体制を作ることは考えられないし、中国も入ることはしない。要するに、東アジア共同体を欧州共同体ないし現在の欧州連合(EU)と比較するのは危険なのである。

 ≪「脱官僚」吹き飛ぶ有事≫

 加えるに、より基本的な問題として、鳩山首相の国防に対する考え方にも疑問を抱く。これまでの印象では、鳩山首相は国防への関心が薄い。これは極めて深刻な問題である。当初、鳩山首相は防衛相を自らの党から出さず、連立のミニ政党の代表に押し付ける無責任さを示した。さすがに党内からの反対で方針を転換したが、首相が民主党から北沢防衛相を指名したのは文字通り最後になった。通常の国では国防を預かる大臣は、外相に次ぐ重要ポストである。

 国の存立の基本は国の安全であり、その担当大臣および担当省に十分な敬意を表するのでなければ、外国からも日本に対する尊敬の念を勝ちとることはできまい。

 国家戦略室が新設されたが、これにも国防戦略の視点が抜けている。国の限られた人的、物質的資源をどのように総合的に国の安全と防衛に結びつけるかは、国の基本戦略であるはずである。

 鳩山政権は、これから発生するかもしれない日本の有事ないしは日本周辺の有事に適切に対応できるだろうか。鳩山首相は就任の記者会見で、「多分、いろんな試行錯誤の中で失敗することもあるだろう。ぜひ国民にご寛容を願いたい」といった。しかし、有事への対処にあたっての失敗は許されない。朝鮮半島有事に代表される大規模テロ、ミサイル攻撃、核の脅しなどに対する危機管理の失敗は人命の犠牲を伴うのである。

 有事になれば、北沢防衛相は大規模の官僚組織(背広組および制服組)を動かさねばならない。自衛隊ばかりでなく、警察組織や海上保安庁などとの連携も必要になってくる。その際、防衛相は幹部自衛官の全幅の信頼を得てこそ、命を賭けて任務に就く自衛官を指揮できるのである。危機管理において「脱官僚依存」などとは言っていられないはずである。

 鳩山首相は自衛隊の最高指揮官としての自覚を持って国政に当たられることを切に期待したい。(にしはら まさし)」


上記の記事の如く、鳩山政権には、国防・安全保障の重要性が、敢えて軽視されている。というより、ほとんど『無視』である。鳩山民主党は、衆院選の際にも国防・安全保障問題は、全く争点にしなかった。対馬や与那国島のような離島防衛問題も『周辺諸国への配慮』とやらで、自衛隊の配備・増強をしようとしない。それどころか『日米同盟』を脅かすような『東アジア共同体構想』を打ち出すなど、正気の沙汰ではない。鳩山政権は、日本を中共支那に売り渡すつもりなのか?国防・安全保障問題、特に離島防衛問題にも積極的に取り組んでいた中川昭一氏をも失った日本は今後どうなるのだろうか!?不安は尽きない。

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